技術資料

ステンレス板金加工における材料板厚のばらつき

板金加工において材料の板厚は加工精度に影響を与える大きな要因の一つです。

メーカーが提示している板厚と実際の板厚には一定のばらつきが存在します。

ばらつきがあることを踏まえて加工することで品質を安定させることができます。

 
板厚のバラツキ

マイクロメータで測定
板厚により(例・t1.0とt2.0)伸びしろは異なりますが、同じ公称板厚でも、次のような要因で板厚がバラツキ、伸びしろに影響をおよぼします。

1.公称板厚と実板厚の差
2.ロットごとのバラツキ
3.定尺シート内でのバラツキ
4.メーカーによる板厚差

ここでは、各要因の板厚分布状態の調査・分析してみました。

1.公称板厚と実板厚の差
下のグラフは、A社製SPCC(一般材)の3種類の板厚の板厚分布です。

例えば、公称板厚1.2mmに対し、実板厚は1.166mmから1.178mmで、
バラツキ幅は0.012mm、平均板厚は1.173mmあり、
公称板厚との差は0.027mm(2%)でした。

調査範囲内では、公称板厚と実板厚平均板厚との差は0~-4%でした。

2.ロットごと/ロット内のバラツキ
(ロット=ロール)
下のグラフは、K社製SUS430(一般材)t0.5mmの3ロットの板厚分布です。

調査範囲内では、ロットごとの平均板厚の差は±1.5%でした。
ロット内の平均板厚の差は±3.5%でした。

下のグラフは、SPCC-SB(コイル材)t1.2mmの板厚分布の一部です。
中央が厚く、1つのロットの中でもバラツキがあることがわかります。
始まり             中間              終了
      
3.定尺シート内でのバラツキ
下のグラフは、N社製SPCC(一般材)t1.2、2.0mmの定尺シート内の板厚分布です。
調査範囲内では、定尺シート内での板厚のバラツキ幅は±1.0%でした。
4.メーカーによる板厚差
下のグラフは、SUS304BA(一般材)t1.2mmのK社とA社の板厚分布です。

K社の実板厚の平均は1.197mm、同A社は1.163mmで、平均板厚の差は0.034mm(約3%)の差でした。

2016年2月19日

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