技術資料

ステンレス板金加工における曲げ加工の角度精度への影響

 

【1.曲げ角度への影響】
ストローク 0.01mm の重み
表は、デプスの値が 0.01mm 変化した場合どの程度角度が変化するかを示した一例です。

【2.材料属性】
1 .板厚変化のストロークへの影響
板厚が増加すると同一角度に曲げるためのストロークは減少します。
(板厚が大きくなると、V/t が小さくなるため)
板厚変化に対するストローク変化は、SUS < SPCC < AL の順で影響が大きくなります。
板厚変化に対するストローク変化は、
(ロットごとの平均板厚差)<(公称板厚-実測板厚)<(ロット内のばらつき)の順で影響が大きくなります。
2.材料定数変化のストロークへの影響
V幅や板厚が大きいほど、材料定数変化に対するストローク変化は大きくなる。(曲げRが大きくなり、定数変化の影響を受けやすくなるため。)
材料定数変化に対するストローク変化は、全体的に
AL < SPCC < SUS の順序で影響が大きくなる。
材料定数を変動させる要因は、
ロール目違い<同位置メーカー内の板厚違い<メーカー違い<材質(処理別)違いの順序で大きくなる
【3.パンチ先端Rのストロークへの影響】
下表は、パンチ先端R0.2を基準としたパンチ先端Rの違いによるストロークの変化量を調査したものです。
この結果、
パンチ先端Rが大きくなるほど、同一曲げ角度を得るためのストロークは減少する。(材料の曲げRが大きくなるため)
パンチ先端Rのストロークへの影響を曲げ材質別でとらえると、
SUS < SPCC < AL の順で影響が大きくなる。
V/t が小さいほど、パンチ先端Rのストロークへの影響が大きくなることがわかります。

【4.ダイV幅のストロークへの影響】
下表は、ダイV幅のストロークへの影響を調査したものです。
この結果、
ダイV幅が大きくなると、90°に曲げるためのストロークは増加する。
ダイV幅のストロークへの影響は、曲げ材料の材質別に
SUS < SPCC < AL の順で大きくなる。
ことがわかります。

【5.ダイ肩Rのストロークへの影響】
下表は、ダイ肩R0.4を基準としたダイ肩Rの違いによるストロークの変化量を調査したものです。
この結果、
ダイ角度が大きくなると、同じ角度を曲げるためのストロークが小さくなる。(公称V幅が同じでもダイ角度が大きくなると実質V幅は大きくなるため)
AL 材の仕上がり90度曲げの場合、材料とV溝の接触位置が肩RではなくV斜面となるため、肩Rの影響はなくなる。
ことがわかります。

【6.ダイ角度のストロークへの影響】
下表は、ダイ肩R 0.4を基準としたダイ肩Rの違いによるストロークの変化量を調査したものです。
この結果、
ダイ角度が大きくなると、同じ角度を曲げるためのストロークが小さくなる。(公称V幅が同じでもダイ角度が大きくなると実質V幅は大きくなるため)
ダイV幅のストロークへの影響は、曲げ材料の材質別に
SUS < SPCC < AL の順で大きくなる。
ことがわかります。

2016年3月14日

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